プレミアリーグ開幕から2試合目にして、今季初となる4人抜きの華麗なスーパーゴールを決めた三笘薫。相手陣地を切り裂き、世界を沸かせ続ける彼の代名詞“ドリブル”の秘密は、川崎フロンターレ時代の独自練習法にあったという。
7万5000部のベストセラーとなっている初の著書『VISION 夢を叶える逆算思考』にも、その練習法は克明に書かれている。
そんな彼の原点に迫るべく、川崎フロンターレで監督を務めた風間八宏氏にインタビューを敢行。現在は、セレッソ大阪にて育成年代の指導にあたる名指導者は、当時を振り返り何を語るのか――。
必読の全4回!
――「止める」「蹴る」の他に、フロンターレには独自の「当てて入る」という概念もあると聞きました。
フロンターレでは「試合中に一度ボールを持ったら、永久にフリーになり続けろ」と教えていました。例えば、目の前で、味方と相手が1対1になっているエリアがあったとします。自分がそこへパスを出すとき、そのまま何もしなければ、1対1のエリアにボールが行くだけです。でも、パスを出した後に、自分がまたボールを受けられる位置に寄っていけば、味方2に相手1という、数的優位な状況を作ることができます。
サッカーというのは11対11のスポーツなので、なにも工夫しなければ、1対1の場面ばかりになって、いつまでも数的優位をつくることはできません。なので、ボールを持っている自分は、ボールを離した後、常にフリーになる必要がある。それはつまり、パスを出した後も、自分が味方に寄ることで常に数的優位な状況を作る状況でいろよということです。これが、三笘選手の著書にも記されている、「当てて入る」という技術です。
もちろん、これを試合で実践するために、選手たちにはまず、「止める」「蹴る」を教えます。すべては基本技術からです。