■国境を何度も越える

 プッチャルダ周囲の盆地は一面の畑になっています。そして、丘の上から北を望むと畑の向こうにもう一つの小さな丘があってそこに古い城が見えます。

 畑になっている場所はフランス領土です。そして、遠くに見える古城はリビア城。城の一帯はなんとフランス領内にあるスペインの“飛び地”なのです。

“飛び地”というのは、とても不思議で魅力的な存在です。たとえば、三重県と奈良県に挟まれて和歌山県の飛び地(北山村)が存在します。「放浪家」としては、地図を見るだけで興味をそそられてしまいます(日本全土に飛び地は数多く存在しますが、北山村は村全体が飛び地になっていて面積も大きく、日本代表級の飛び地)。

 リビアの場合は、国単位の飛び地です。これは、行ってみるしかないじゃありませんか!

 早速、国境を越えてフランス領に入り、畑の中の舗装道路を歩いていくと「→エスパーニャ」という道路標識が立っています。「エスパーニャ」とは、つまりスペイン領である「リビア」のこと。無事にリビアに辿り着いたので古城を見物して帰ってきました。どうということのない古城だったのですが、一往復で国境を何度も越えたわけです……

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