■乾のスーパーゴールが清水に勢いをもたらす

 1点差に詰めて後半を迎えた清水は、4-2-3-1から3-4-2-1へシステムを変更する。町田が4―4-2で前線から規制をかけてくるが、清水は3バック+ウイングバックに加えてボランチの白崎凌兵かホナウド、あるいは2シャドーの一角を担う乾が下りていくことで、ビルドアップ時の数的優位を作り出す。

 システム変更で前半よりもボールを動かせるようになったところで、「質的優位」がさく裂する。背番号33を着けた乾だ。

 61分、自陣でパスを受けると、食いついてきた相手ボランチを剥がし、町田MFバスケス・バイロンを置き去りにし、MF松井蓮之もかわす。ペナルティエリア手前から右足を振り抜くと、シュートブロックで角度の変わったボールが、GKポープ・ウィリアムの頭上を破ってゴールへ吸い込まれる。乾の6試合ぶりのスーパーな8ゴール目で、清水は同点に追いついた。

 2対2に追いついた直後、町田が4バックから3バックへシステムを変更する。ともに3―4-2-1のミラーゲームになったが、清水の秋葉監督は70分にMF白崎を下げてFWオ・セフンを投入する。中盤を1枚削り、FWチアゴ・サンタナとオ・セフンを前線に並べた。さらに81分、MF宮本航汰とMF西澤健太を投入する。果たして、秋葉監督のシステム再変更と選手交代が、アイスタに極上の歓喜をもたらした。

 84分、右サイドから西澤が入れたクロスを、チアゴ・サンタナがヘディングで強烈に突き刺したのだ。ゴール前のターゲットが2枚になっていたことで、ブラジル人FWの質的優位を引き出すことができたのだった。

 3対2と試合を引っ繰り返した清水は、町田を退けて勝点を「55」に伸ばした。試合後の秋葉監督はいつもながらの熱さで勝因を振り返りながらも、「まだ我々は3位で、何も勝ち取っていない。最後の最後まで勝ち続けて昇格できるように、チャンピオンになれるように引き続きやっていきたい」と力強く語った。

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