■「先行逃げ切り」型の清水が2点のビハインドを背負う
「超攻撃的」が、底力を発揮した。
J2リーグ第31節が8月19、20日に行なわれ、秋葉忠宏監督が「超攻撃」のスタイルを掲げる3位の清水エスパルスは、首位のFC町田ゼルビアと対戦した。舞台は清水のホーム・IAIスタジアム日本平である。真夏の頂上決戦を見つめる観衆は、通称アイスタでのJ2最多となる17989人だ。
試合はいきなり動く。清水は完全に意表を突かれた。
4分、清水の右サイドで町田がスローインを得る。ロングスローを投げるDF鈴木準弥が、右サイドバックのポジションからボールをもらいにいく。スローインのポジションまで10メートルほど近づいた瞬間、ボールを持つFWエリキが鈴木にスローインを入れたのだ。
ロングスローを想定していた清水の選手たちは、鈴木をフリーにしている。ボールから視線を外している選手もいた。その間にクロスを入れられ、競り合いのこぼれ球をMF高橋大悟に蹴り込まれてしまったのだ。
いきなりビハインドを背負ったことで、清水はリズムを乱してしまう。FWチアゴ・サンタナが警告を受け、ホナウドもイエローカードを受ける。その間にまた、ゴールネットを揺らされた。23分、左サイドからクロスを許し、エリキに決められてしまうのだ。CB高橋祐治がマークについていたのだが、左足のワンタッチシュートを防ぐことはできなかった。
ここまで14勝を記録している清水だが、逆転勝利は8節の東京ヴェルディ戦に限られる。先行逃げ切りを勝ちパターンとしている彼らにとって、前半の2失点は重い。しかも町田は、失点数がリーグ最少2位だ。得点を求めて前がかりになったら、エリキに背後を突かれるリスクも高まる。
想定されるシナリオは、清水にとって厳しいものばかりだっただろう。
それだけに、前半終了間際のゴールは大きかった。敵陣やや左サイドからの直接FKを、MF乾貴士が左SB山原怜音へ短くつなぐ。山原は左サイドへ運んで角度をつけ、ゴール前へクロスを入れる。これを高橋祐治が頭で合わせ、GKが弾いたボールをMFカルリーニョス・ジュニオがプッシュした。カルリーニョス・ジュニオは、2試合連続のシーズン12得点目だ。