■アジア最大のスタジアム

 僕が、この試合に行きたいと思った理由の一つはソルトレイク・スタジアムを見てみたかったからでもあります。

 コルカタの衛星都市、ビダンナガールにある巨大なスタジアムで、ビダンナガールの旧名が「ソルトレイク」だったので、英語では「ソルトレイク・スタジアム」と呼ばれます。

 インドの中では、コルカタのあるベンガル州は旧ポルトガル植民地だったゴアと並ぶ“サッカーどころ”で、コルカタのモフンバガンやモハメダンといった伝統あるクラブは、英国に対する抵抗運動の象徴にもなった人気クラブです。

 そして、大観衆を収容するために1984年に作られたのがこのビッグ・スタジアムでした。安全基準の関係で現在の収容力は6万人程度になっていますが、かつては13万人以上の観衆が入ったこともあるそうです。

 つまり、ここは「アジア最大のスタジアム」ということになります。それで、スタジアムを見学するのもこの時のインド旅行の大きな目的だったのです。

 さて、試合当日にスタンドに行ってみると、記者席はガラスで覆われた部屋になっていて冷房がきいていました。「ありがたい」のは「ありがたい」のですが、僕は本来は露天のスタンドの方が好きなのです。「スタジアムの空気」を感じていたいからです。

 でも、どうやら簡単には外には出られない構造のようなので、この日は「まあ、涼しいところで観戦しようか」と思っていました。

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