後藤健生の「蹴球放浪記」第175回「停電の原因は蛇だった?」の巻(2)日本代表に訪れた45分間のハーフタイムの画像
ソルトレイク・スタジアム完成直後の1984年に開かれた国際大会「ネルー・カップ」の入場券 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、世界各地でサッカーを観戦してきた。また、さまざまな状況でサッカーを目にしてきた。2004年のインドでは、暗闇でサッカーに目を凝らしたことがあった。

■人が溢れかえる街

 試合会場は西ベンガル州にあるコルカタ。かつては「カルカッタ」と呼ばれていましたが、2001年にベンガル語に従って「コルカタ」が正式名称となったばかりでした。かつて植民地時代に、インド植民地の首都として英国人が建設した街で、計画的に建設され、広大な公園なども配された美しい都市でした。

 しかし、職を求めて、あるいは富を求めて、コルカタにはインド全土から多くの貧しい人たちが殺到しました。また、イスラム教国家としてインドとは別の国として独立したパキスタンの一部となった「東パキスタン」(現在のバングラデシュ)から逃れてきたヒンドゥー教徒も大量にコルカタに流れ込みました。現在のコルカタの人口は約450万人。周辺の都市を含めた「コルカタ都市圏」全体では1400万人に達するそうです。

 英国人がここを首都と定めて街を建設した当時の想定をはるかに超えた人口です。

 人口は超過密。人々が溢れかえっています。夜中にホテルを出て、真っ暗な歩道を歩くと、歩道の上で眠っている大勢の人を踏みつけてしまいます。まさに「混沌」の世界でした。

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