■小林悠が足を戻して
小林悠が神戸戦後に一人一人とハイタッチをして写真にも応じたと書いたが、ロッカールームに戻る際、ハイタッチをしていなかった幼児がいると気づくや足を戻して小さな手に大きな手を重ねていた。選手も、ピッチ内だけではなくその外でもフロンターレのエンブレムを胸にしている場面だった。
今回、檜枝岐村からのバスツアーで参加した中学生の一人は、初めて近くで接したプロスポーツ選手について感じたことをこう教えてくれた。
「試合なのにファンの人に対応したり、遠くから来た私たちにまで優しく接してくれてすごい」
選手だけでなく、スタッフやスポンサーも一体となって人の心を動かすフロンターレ。試合に負けてもなおこうした気持ちを観た人に感じさせるからこそ、ここまでクラブは大きくなっている。Jリーグの人気についてはさまざまな議論がなされているが、川崎は選手とスタッフとスポンサーがともになって、新たな形を作ろうとしている。
(取材・文/中地拓也)