■得点機を生かせない展開で…
「超攻撃的」は、しぶとい。
J2リーグ第30節が8月12、13日に開催され、3位の清水エスパルスは18位のレノファ山口FCをホームに迎えた。
キックオフ早々から相手ゴールへ迫った。開始から1分も立たないうちに、FWチアゴ・サンタナがMF乾貴士のスルーパスを受けて強烈な左足シュートを浴びせた。実に8試合ぶりのスタメンとなったこのブラジル人ストライカーを中心に、複数の選手が距離感良く連動して相手ゴールへ迫っていく。
J2リーグにおける清水は、チアゴ・サンタナ、乾、MFカルリーニョス・ジュニオらが「質的優位」を発揮することで、リーグ最多タイの得点を記録している。それと同時に、素早いトランジションとしての即時性、練習に裏打ちされたプレーとしての再現性、バリエーションのある攻撃としての多様性なども、試合を重ねるごとに高まっている。さらにはカルリーニョス・ジュニオや乾らの創造性が、チームとしての練度に色をつけるのだから、リーグ最多タイのゴール数も納得できるだろう。
どの試合でもチャンスは作れている。あとは、決めるべきタイミングで、決めることができるか。チャンスをゴールへ結びつけられない展開でも、焦れずに戦えるか。
40分過ぎにMFホナウドのパスを自陣でカットされ、相手FW梅木翼にフリーで持ち出された。失点してもおかしくない場面だったが、CB鈴木義宜が相手のシュートをスライディングでブロックした。山口相手に0対0で折り返したこの一戦は、清水の「胆力」が問われる展開と言うことができた。