■2度失敗したプロリーグ

 そして1991年の第1回女子ワールドカップで優勝を飾るまでになるのだが、当時はひとつの大きな問題があった。大学生まではプレー環境が整っていたのだが、代表選手でも大学を卒業するとプレーする環境は劣悪なものとなっていたのだ。代表選手の多くは、母校にコーチとして残り、大学生たちと練習しながら代表活動に備えていた。こうした状況を改善しようと、2001年、2009年とプロリーグ設立の挑戦がなされたが、いずれも数年で破綻し、ようやく2013年に始まった「ナショナル・ウィメンズ・サッカー・リーグ(NWSL)」が軌道に乗って、現在の代表選手の大半がプレーする場となっている。

 このリーグは、アメリカ型のプロスポーツリーグ、すなわち有力メディアからの放映権料を中心に運営するのではなく、アメリカ、カナダ、そしてメキシコのサッカー協会が出資し、代表選手の報酬はそれぞれの協会が負担して選手をクラブに配分するという方法をとったことに、それまでにないユニークさがあった。現在では各クラブが経営力を強め、リーグも有力なメディアとの契約にこぎつけたことで、こうした特殊な形を脱却している。

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