■突出した競技人口
このように、試合の形勢としてはアメリカは全4試合で主導権を握っただけでなく相手ゴールを襲い続けた。しかし総得点4、ベトナム戦を除けばわずか1点で、最後の2試合、210分間は得点なく終わった。「決定力の欠如」は明白だった。過去の8大会中4大会で優勝を飾ってきたアメリカは、その間に50試合を戦い、40勝6分け4敗という圧倒的な成績を残してきた。総得点は138(失点38)。1試合平均2.76という高い得点力がアメリカの強さの根源だった。今大会ではそれが失われていたのは間違いない。
過去30年間、アメリカが世界の「女王」であった最大の要因は、圧倒的な競技人口の多さだった。2007年に国際サッカー連盟(FIFA)が発表したデータがある(「BIG COUNT 2006」)。国別のサッカー競技人口の調査だが、それによれば、アメリカは総人口2億9844万4215人で、総競技人口は2447万2778人、そのうち女子はなんと705万5919人であるという。
この数字は選手登録の数字ではなく、不定期にボールをける人も含まれているが、それにしても驚異的な数字と言える。ちなみに、同調査においてアメリカ以外で女性の競技人口が100万人を超えているのはブラジル、中国、ドイツ、インド、メキシコの5か国に過ぎず、いずれも200万人には達していない。この数字だけで、アメリカの女性の間でのサッカー人気がわかるだろう。