■町田は翁長の出場停止をどう埋めるのか?

 町田GIONスタジアムで行なわれる町田対磐田の首位攻防戦のポイントは、町田から見た左サイドになる。左SBとしてリーグ戦全試合に先発し、フィールドプレーヤー最長の出場時間を記録している翁長聖が、累積警告で出場停止なのである。タッチライン際を何度もアップダウンでき、ロングスローも入れられる翁長は、黒田剛監督のチーム作りで不可欠な選手となっている。

 主戦術とする4バックを維持するのなら、奥山政幸の左SB起用が現実的だ。新加入の鈴木に右SBのポジションを譲っている奥山は、左右両サイドでプレーできるユーティリティな選手だ。前節の後半途中から4試合ぶりにピッチに立ったのは、磐田戦を見越した準備だったとも考えられる。

 4-2-3-1の磐田で、右SBを務めるのは鈴木雄斗だ。29歳の経験者はビルドアップにかかわりながらクロスの担い手となり、フィニッシュの場面にも顔を出す。ここまで3ゴール6アシストをマークしている鈴木が存在感を放てば、磐田のペースで試合が進んでいると見ていい。

 鈴木と右サイドを形成するMF松本昌也は、ベガルタ仙台との前節で2得点1アシストをマークした。ゴールネットを揺らしたのは4月29日の12節以来で、背番号14を着ける彼の覚醒も磐田にとっては頼もしいだろう。

 磐田はポゼッション率の高いチームで、町田はポゼッションよりカウンターとセットプレーに強みを持つ。両チームのスタイルを照らし合わせると、町田が3バックを選ぶ可能性が浮上する。

 守備時は5バックであらかじめスペースを埋めておき、エリキの爆発的なスピードを生かしてカウンターを発動する。エリキがゴールできなくても、反則を誘って直接FKを獲得すればFWミッチェル・デューク、FW藤尾翔太、DFチャン・ミンギュ、DF藤原優大らの高さで脅威を与えられる。スローインを獲得できれば、鈴木がロングスローを供給する。3バックでもゲームプランは描けるのだ。

 果たして、黒田監督はどのようなゲーム戦術を採用するのか。それに対して、磐田の横内昭展監督はどのように対応するのか。試合前のメンバー発表から注目だ。

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(2)へ続く
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