サッカーにおけるPIFの活動が急に始まったわけではない。2021年にイングランドのニューカッスル・ユナイテッドを買収、大金を注ぎ込み、2016-17シーズンには「2部」にあたる「チャンピオンシップ」で戦い、昇格後も下位の常連だったクラブを2022-23シーズンにはプレミアリーグで4位に躍進させ、一躍UEFAチャンピオンズリーグ出場に引き上げた。
■世界のスター買い
さて、新たな資金を得たサウジの4クラブは、即座に「世界のスター買い」に走った。その対象は、一時の中国のレベルをはるかに超える。2022年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝(ことし4月~5月)で浦和レッズに敗れたばかりのアル・ヒラルが、昨年のワールドカップ優勝の立役者メッシに提示した年俸は、クリスティアーノ・ロナウドの3倍にあたる6億ユーロ(約900億円)とまで言われた。
最終的にメッシはこのオファーをけり、元イングランド代表のデビッド・ベッカムらが所有するアメリカの「マイアミ・インター」に移籍したが、アル・ヒラルはめげず、イングランドのウォルバーハンプトン・ワンダラーズからポルトガル代表MFルベン・ネベス、イングランドのチェルシーからセネガル代表DFカリドゥ・クリバリ、そしてイタリアのラツィオからセルビア代表MFセルゲイ・ミリンコビッチサビッチを獲得した。