■避けたい地元チームとの対戦
さらに、その先の勝ち上がりを考えても首位通過を狙うべきだ。
というのは、2位通過してラウンド16でグループAの首位チームに勝利して準々決勝に進出したとすると、そこでFIFAランキング1位の女子サッカー界の“絶対女王”アメリカと対戦することになる公算が大なのだ。
現在のアメリカは2010年代前半頃のような絶対の存在ではなくなっている。世代交代が遅れ、ヨーロッパ勢の猛追を受けており、2021年の東京オリンピックでも準決勝で敗退している。
しかし、それでもアメリカが世界最強なのは間違いないだろう。
アメリカとの対戦を避けるためにも、日本はスペインに勝利してグループCを首位通過しておきたい。
ただ、グループAでは開幕戦でニュージーランドがランキングで上のノルウェー相手に完勝している。今後の展開によっては、ニュージーランドがグループAを2位通過することも考えられる。そうなると、日本がグループCで首位通過した場合、ラウンド16で開催国ニュージーランドと、同国の首都ウェリントンで対戦することになってしまう。
幸いにも、グループAの最終順位は日本がスペインと戦う前日の7月30日に決まるので、日本は結果を見てから試合ができる。グループAの結果次第であるが、ことによったらスペイン戦ではニュージーランドとの対戦を避けるために2位狙いで戦うことになるかもしれないのだ(男子日本代表が銅メダルを獲得した1968年のメキシコ・オリンピックで、日本はグループBの最終戦でやはりスペインと対戦した。そして、準々決勝で地元メキシコと対戦するのを避けるために2位通過狙いに変更。試合終盤には、ベンチから「点を取るな」という指示が飛んだ)。
「2位狙い」のようなことをすることによって、チームの勢いが失われる危険もあるが、ザンビア戦のような「大人の試合」ができる選手たちのことだ。「2位狙い」の目的もしっかりと理解したうえで切り替えて戦えるはずだ。