ワールドカップ・カタール大会出場の立役者であり、“三笘の1ミリ”が世界的に話題となった三笘薫。世界を沸かせ続ける彼の代名詞“ドリブル”の原点は、ジュニア時代にあったという。そんな彼の少年時代に迫るべく、川崎フロンターレ・ジュニアの監督を務めた高崎康嗣元監督(※正式表記は高ははしごだか、崎のつくり上部は立)へのインタビューを敢行。三笘薫、久保建英、板倉滉、田中碧……のちの日本代表を多数育てた名監督は、当時を振り返り何を語るのか――。
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■“逆算思考”がトップスターを作る
――三笘選手といえば、著書『VISION 夢を叶える逆算思考』にもあるように、目標達成に向けて逆算で考える“逆算思考”という考えをお持ちですが、それもフロンターレの教えなのでしょうか。
当時、子どもたちと一緒に、一日かけて“目標シート”を作っていました。30年後、10年後、5年後と段階的に将来の目標を立てて、それを文章化させたんです。その内容をチェックして、「プロ選手になるって、いつ?」「海外に行くって、どこの国?」という感じで、すべて具体的に決めさせる。そして、その時にどのような選手になっているかを尋ねます。ここでも、「メッシみたいな選手」なんてあいまいに書いちゃうと却下です(笑)。
具体的に目標を設定し終えたら、次は、その将来の目標を実現するために1年後、1年以内、3か月後といった直近の目標を決めます。そして最後に、毎月の目標を作り、毎日のルーティーンを決めるんです。ここまで来ると、「今月までにリフティング○回達成」「毎日、本を〇ページ読む」というように、自分が今すべきことがすべて文章化されています。
目標シートは、子どもたち自身が自己評価をつけて、僕に提出。それを基に、保護者に毎週、コメントを書いてもらいます。僕もそれを読んで返答していきます。サッカーというのは、ゴールから逆算するスポーツですが、それを私生活にも応用したんです。薫は、これをきちんとやっていました。