■18世紀の「源流」

 ところがサッカーでは、160年間の長きにわたって「Law」なのである。サッカーの他に競技ルールに「Law」が使われているのは、ラグビーとクリケットぐらいのものである。すべて英国で誕生した競技である。

 サッカーとラグビーはともに19世紀半ばに競技ルールが定められ、近代スポーツとして誕生して現代に至っている競技である。それに対しクリケットの最初の競技ルールが書かれたのは、それより1世紀半近くも前の18世紀前半のことだった。これはある試合のための合意書という形だったが、その後条文が整備され、「Laws of Cricket」として定着した。

 おそらく、スポーツの競技ルールを「Law」とした始まりはクリケットであり、1863年にサッカーの、そして1871年にラグビーの最初の競技ルールが書かれたときにも、クリケットの競技ルールが念頭にあったに違いない。当時のスポーツマンたちは、夏にはクリケット、冬にはフットボール(サッカーやラグビー)というのが普通だったからだ。

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