大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第115回「『法』か『規則』か」(2)サッカーやラグビーへの「流れ」をつくったクリケットの画像
左が3月に発行された「簡易版」、右は現行の公式「競技規則」 (c) IFAB.jpg

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「サッカーの法律」って何?

■なぜ「法律」なのか

 サッカーのルールは、日本サッカー協会は「サッカー競技規則」としているが、英語では正式には「Laws of the Game(直訳すれば『競技の法律』)」ということになっているのである。「Rules of the Game」ではないことに、私は長い間疑を抱いてきた。

 「Law」という言葉は、「法律」と日本語訳されているように、公的権力、一般的には国家権力が定め、執行している規則に使われる。ときに刑罰など国家権力の発動を伴うものであるため、現代的な民主社会ではその制定には厳格な手続きが求められている。それに対して「Rule」とは、必要に応じて設定や調整されるもので、スポーツやゲームのやり方を示したり、企業・学校などの団体で行動の指針を示したりする「約束ごと」を定めたものということができるだろう。

 サッカーの「競技ルール」にふさわしい言葉はどちらだろうか。100人に聞いたら、おそらく99人は「Rule」と答えるのではないかと、私は考えている(どんな集団にも、100人にひとりぐらいは「へそ曲がり」がいる)。さまざまな競技の「競技ルール」を調べてみたが、予想どおり、大半は「Rule」であった。

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