■「みちのくダービー」で屈辱の4失点
後半開始とともに、仙台の伊藤彰監督が動く。右SB小出悠太を下げ、DF蜂須賀孝治を起用する。前半30分過ぎからビルドアップの形を変え、若狭ではなく右SBが高い位置を取っていたことを踏まえた交代だった。
47分にはFW山田寛人のシュートが相手GKを襲う。この一撃で右CKを獲得すると、ホ・ヨンジュンが強烈なヘディングシュートを突き刺す。仙台は1点差に迫る。
仙台は後半の入りから守備ブロックの位置を上げ、前半よりもさらに高い位置からボールを奪う狙いに変えていた。攻撃ではホ・ヨンジュンと山田の2トップのどちらか下りることで、相手のCBとボランチの「間」のスペースを活用するようになっている。巻き返しへの工夫が見えているのだが、1点差に迫ったあとで痛恨の失点を喫してしまう。54分、58分と藤本に決められた。山形の背番号11に、4得点を決められてしまった。
チームトップの11得点をあげているチアゴ・アウベスを欠く山形は、ポルトガル人FWが定位置とする4-2-1-3の左ウイングにMF國分伸太郎を配した。中盤から攻撃のポジションを自在にこなす彼は、3点目と4点目をアシストした。山形の渡邉晋監督の選手起用と、それに応えた國分を讃えるべきなのだが、仙台にとって後半の2失点はあまりに重かった。
1対4となってからは選手交代でシステムを代え、選手の立ち位置も変えて反撃を試みたが、ゴールを奪うことはできない。仙台は今シーズンワーストとなる4失点で、リーグ戦の「みちのくダービー」では10年以来13年ぶりの黒星を喫した。
通算成績が8勝7分8敗となった仙台は、勝点31のままで順位を12位に落とした。J1自動昇格圏の首位のFC町田ゼルビアは勝点50、2位の東京ヴェルディは勝点43である。背中は遠くなるばかりだ。
J1昇格プレーオフ圏内の6位のヴァンフォーレ甲府は、勝点37である。こちらとは2勝分に相当する勝点6差で、巻き返しの可能性はまだ残されている。ただ、4位のジュビロ磐田から14位のロアッソ熊本までの11チームが、勝点8差でひしめき合っている。プレーオフ圏を狙うライバルは多く、一戦も落とせない試合が続く。
中3日で迎える次節は、7位の清水エスパルスをホームに迎える。4戦勝ちなしの仙台にとっては、勝点3がマストとなる一戦だ。引分けも許されないと言っていい。