■男子W杯との差
今回の女子ワールドカップの賞金総額は前回大会の4倍近い1億1000万ドル(約154億円)に引き上げられた。2022年の男子のカタール・ワールドカップの賞金総額は4億4000万ドルだったから、約4分の1ということになる。そして、FIFAは4年後の大会(開催地未定)では男子大会と同程度に賞金を引き上げることを目標として掲げている。
また、今回の大会から選手個人にも賞金が割り当てられる。参加する選手たちにとっては、たしかに大幅な待遇改善だ。放映権料はそのための原資となるのである。
たしかに、女子サッカーの待遇改善やジェンダー平等の実現は望ましいことだ。
だが、現状では男子のワールドカップと女子のワールドカップではその人気や関心度には大きな違いがあるのは間違いない。男子の大会についていえば、おそらく地球上のあらゆる地域の国や地域で強い関心を引くイベントであろうが、女子サッカーの普及度、人気は地域によってばらつきが大きい。
「賞金を男子と同程度とする」。そのために「放映権料も男子大会に近い金額にする」。そういう時代になれば理想的なのかもしれないが、現状を見ればそれは時期尚早なのではないか。放映権料が上がることによって地上波による放映ができなくなってしまったとしたら、「女子サッカー」という(地域によっては)新しいスポーツの普及に水を差すことになりかねないのではないか……。
以上が、6月13日に掲載された前回のコラムの趣旨だった。