■欧州での合意の裏側
前回のコラムが掲載された直後の6月14日に、FIFAとEBU(ヨーロッパ放送連合)の間での合意が報じられた。
しかし、詳細は分からないが、ヨーロッパの放送局が放映権料に関するFIFAの要求を飲んだわけではないようだ。
「EBUは独自のデジタルプラットフォームと放送ネットワークの中で女子サッカーに特化した番組を毎週少なくとも1時間放送することを約束した。これは女子サッカーの宣伝と露出を増やす機会を提供するものであり、長期的な発展に取り組んでいる私たちにとっての優先事項でもある」
これが、インファンティーノ会長の声明である。
「女子サッカーに特化した番組を放送すること」と引き換えに、従来EBUとの間で結んでいた放映権を主要5か国など全ヨーロッパに拡大したわけだ。放映権料についてはFIFA側が放送局側の主張に譲歩したのだろう。「女子サッカー番組の配信」というのは、FIFAが“撤退”するための、いわば言い訳のようなものだ。
こうして、主要国(地域)で女子ワールドカップの放映権問題が解決されていないのは日本だけということになった。
「日本とも交渉は進んでいる」と言われているので、その行方を見守りたいが、一連の経過を見ると、関係諸団体の女子サッカー振興に向けての本気度を疑わざるを得ない。