【久保建英の進むべき道(2)】自ら「W杯の時とは別人」と言うほど、自信に満ちた22歳の現在地。「結果が出ようが出まいが焦ることは今のところない」の画像
エルサルバドル戦でプレーしたサッカー日本代表の久保建英 撮影:中地拓也

 カタールW杯から3カ月半後の今年3月。第2次・森保ジャパンが発足し、もちろん久保建英も招集された。

 今季赴いたレアル・ソシエダではW杯前の前半戦は2ゴールにとどまっていたが、12月末のリーグ再開後は調子を上げ、ウルグアイ(東京・国立)・コロンビア(大阪・ヨドコウ)2連戦前までに3ゴールを追加。クラブもUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内の4位をキープし、本人も充実したシーズンを過ごしていたことから、「W杯の時とは別人」といった発言も飛び出すなど、久保は自信に満ち溢れていた。

 ところが、この初陣2連戦もコロナで前半は練習欠席を強いられる。途中からトレーニングに復帰したものの、コロンビア戦は後半途中から出ただけ。新体制スタートも足踏みすることになってしまった。

 こうした負の連鎖を断ち切る意味で、今回の6月シリーズは極めて重要だった。6月4日に22歳になり、エルサルバドルという記念すべき相手と対峙するとあって、久保の中ではより一層、闘争心に火がついていたはず。
「まだ1点なので、ここから追いつけ追い越せで、最後に結果を残せれば万々歳かなと。1点取れればどんどん行けると思うので、とりあえずエルサルバドル戦に向けて準備していきたいです」と試合前にも力を込めていた。

 その言葉通り、念願の代表2ゴール目を挙げたのだが、それ以上に「自然体のパフォーマンス」が目についた。これまでは「自分が自分が」といった気負いが目立った久保だが、中村敬斗のゴールをアシストしたシーンに象徴される通り、「仲間を生かして自分も生きる」という意識が鮮明に出ていた。

 これはレアル・ソシエダでダビド・シルバから学んだことかもしれないが、優れたアタッカーというのは、エゴイストになって自分のゴールだけに突き進めばいいものではない。チームが勝利するための最適な判断、最善のプレーを見せて、そこで光れる選手がトップ・オブ・トップだと理解できたからこそ、代表でも余裕を持った仕事ぶりを見せられたのではないだろうか。

 代表トレーニング時の一挙手一投足を見ても、以前はどこか表情が曇りがちだったり、顔がこわばったりしていたが、今はとにかく楽しんでプレーしていることがよく分かる。

 今の代表が東京五輪世代中心のチームになり、U-17代表の頃から共闘してきた菅原由勢(AZ)や中村敬斗、瀬古歩夢(グラスホッパー)ら同世代が増えてきたことも大きいのだろうが、「自分は特別な選手ではない」と思えるような環境になったのは確かだ。

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