■今はまだ「普及」の段階
FIFAは、今年の大会から女子ワールドカップ優勝チームの賞金を従来より大幅にアップ。優勝チームは429万ドル。準優勝チームは301万9000ドル。グループリーグ敗退でも156万ドルを受け取ることができるようになった。
さらに、今回から選手個人に対しても賞金の分配が行われ、優勝チームの場合、全登録選手に27万ドルずつ、準優勝チームには19万5000ドルずつ。グループリーグ敗退チームでも各選手が3万ドルを受け取れることになった。
女子選手への待遇の改善自体はもちろん素晴らしいことである。女子サッカーがプロ・スポーツとしての地位を確立するための大きな一歩になるだろうし、スポーツ界のジェンダー平等をサッカー界が牽引していければ、それは素晴らしいことだ。
だが、現状は日本を含む多くの国で女子サッカーは「普及」を目指すべき段階にある。これからも観客動員が改善されず、WEリーグが維持できなくなったとすれば、女子選手たちはせっかく手に入れたプロとしての地位を失ってしまうではないか!
選手の待遇改善もプロ・リーグという存在が確立されてこそのことなのだ。
そうした状況は、ヨーロッパ各国でも似たようなもの。こうした現状を考えれば、FIFAは高額な放映権料を設定するよりも、各国で地上波による無料放送ができるようにすべきだろう。今のままでは「女子サッカーの地位向上」を目指しながら、逆に足を引っ張ることになりかねない。
いずれにしても、開幕まで1か月半となった女子ワールドカップの放映権問題が早期に解決されることを祈りたい。