「女子サッカーの地位向上」の足を引っ張りかねない「高額な放映権料」【女子ワールドカップの放映権料が示すサッカー界の問題】(3)の画像
WEリーグのような各国日常の女子サッカーを盛り上げるためにも、今は高額放映権料はふさわしくない 撮影/渡辺浩樹(Sony α1使用)

 7月に女子ワールドカップが開幕する。女子日本代表も出場するが、実はまだ放映が決まっていない。昨年の男子W杯でも問題となった放映権料は、どうして高騰するのか。この大きな問題に、サッカージャーナリスト・後藤健生が切り込む。

■トップの隆盛

 女子サッカーの注目度はここ数年で大幅に上がってきている。

 女子の試合の観客動員としては1999年の女子ワールドカップ決勝のアメリカ対中国戦(ローズボウル)における9万185人が記録として残っていたが、2021-22シーズンの女子チャンピオンズリーグ準々決勝のバルセロナレアル・マドリード戦ではカンプノウに9万1553人が集まって記録を更新。さらに、準決勝のバルセロナ対ヴォルフスブルグ戦には9万1648人が入場した。

 各国で女子のビッグマッチに男子と同じような大観衆が入るようになったのだ。

 女子選手たちが待遇改善を要求するようになったのも、FIFAが女子ワールドカップに力を入れるようになったのも、こうしたサッカー先進国における女子サッカー人気の上昇が背景にある。

 だが、ヨーロッパでも多数の観客が集まるのは一部のビッグマッチだけである。

 日本の女子選手が各国のクラブで活躍するようになったおかげで、日本でもヨーロッパの女子サッカーの動画を簡単に見ることができるようになったが、日常のリーグ戦では閑散とした観客席が映し出されることも多く、ほとんどすべての試合で満員の観客を集める男子サッカーとの格差はまだまだ大きいと言わざるを得ない。

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