7月に女子ワールドカップが開幕する。女子日本代表も出場するが、実はまだ放映が決まっていない。昨年の男子W杯でも問題となった放映権料は、どうして高騰するのか。この大きな問題に、サッカージャーナリスト・後藤健生が切り込む。
■女子W杯の放映は未定
オーストラリアとニュージーランドで開催される第9回女子ワールドカップ開幕まで1か月あまりとなり、6月13日にはいよいよ王座奪回を目指す日本代表(なでしこジャパン)のメンバーも発表される。
ところが、この大会のテレビ放映がまだ決まっていないのだ。
日本において女子サッカー人気を定着させるためにも、ワールドカップでの日本代表(なでしこジャパン)の活躍は不可欠だが、せっかく代表チームが頑張ってもテレビ放映がなかったら注目されることがなくなってしまう。
「テレビ放映権問題がどうなるか」。そこには、日本の女子サッカー界の将来が懸かっていると言っても過言ではない。
実は、テレビ放映が決まっていないのは日本だけではないらしい。
FIFAの資料によれば、すでに世界のほとんどの国や地域でテレビ放映あるいはインターネット配信が決まっているのだが、イングランド、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアでの放映が決まっていないのだという。いわゆる「5大リーグ」と呼ばれる世界最高峰リーグを持つサッカー界の主要国である。
日本も、女子サッカーの世界では3大会前の2011年のワールドカップ・ドイツ大会で優勝を飾り、4年後のカナダ大会でも準優勝を経験しており、「主要国」の1つと言っていい存在だ。
そうした、「主要国」でテレビ放映ができなかったとしたら、これは大変な問題である。
どうしてこんなことになってしまったのか……。その原因は放映権料を巡るFIFAと各国の放送局との“対立”である。