■派手な試合と地味な試合

 オランダにはデニス・ベルカンプやクラレンス・セードルフ、エドガー・ダービッツ、アルゼンチンにはガブリエル・バティストゥータ、フアン・ベロン、ハビエル・サネッティなどがいました。超豪華な顔ぶれです。試合は、オランダがダービッツのミドルシュートで先制すれば、アルゼンチンはクラウディオ・ロペスのクロスをバティが決めるという、ハイレベルな試合を堪能できました。

「犬も歩けば棒に当たる。蹴球放浪家が歩けば蹴球に当たる」と昔から言われていますが、こんなビッグマッチにぶつかることは滅多にありません。

 普通、“当たる”のはもっとず~っと地味な試合です。

 翌2000年にはオランダ・ベルギー共催のEUROがありました。そして、その直後に僕は中国吉林省の省都、長春に行くことになりました。サッカーとは直接関係のない用事だったのですが、もちろん「なんか試合はないかなぁ~」と思って調べました。

 中国甲級聯賽B級(2部リーグ)の長春亜泰対成都五牛。長春亜泰は、2007年には超級で優勝してACLにも出場するチームなのですが、2000年時点では甲Bに昇格して2年目の無名チームでした。試合は両チームに退場者が出る激しいものとなり、ホームの長春が1対0で勝利しました。

 会場は長春市の郊外の「南嶺体育場」。運動公園内の、普通の(かなり古そうな)陸上競技場でした。

  1. 1
  2. 2
  3. 3