■女子日本代表の秘技

 ところで、手塚貴子さんの優勝は、「ヘディング」の課題だけでなく、「自由」の課題もすべてヘディングでやったところに勝因があったようだ。決められた時間での回数を競うなら、ボールはできるだけ上げず、テンポを上げるのがいい。手塚さんは、もちろん、足でも際限なくリフティングすることができたが、頭なら、5センチほどの高さで上げ続けられることを発見、それで回数をかせいだのだ。

 後のことになるが、女子日本代表に選ばれて海外の大会に参加したとき、出場チームが集まって懇親会が開かれた。各チームが歌や踊りを披露するのだが、日本の「演しもの」は手塚さんのリフティングだったという。そのころには、手塚さんは頭上ほぼ2~3センチの高さでボールを上げ続けることができた。その様子はまるで手塚さんが「痙攣」を起こしているようだったという。当然、場内からは大きな驚きの声に続いて大歓声が起こった。

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