■秘訣は「数えないこと」
ウィキペディアによれば、ボールリフティングの最長時間記録は2010年に英国人のダン・マグネスが香港で成功した26時間。彼はリフティングしながらの長距離移動の記録ももっており、同じ年にロンドン市内で48キロ移動しながらリフティングをし続け、その間にフラムの「クレイヴン・コテージ」スタジアムを皮切りに5つのプレミアリーグ・クラブのスタジアムを回ってトットナムの「ホワイト・ハート・レイン」スタジアムをゴールにしたという。
またメキシコのアブラハム・ムニョスは、2016年のメキシコシティ・マラソンに参加し、リフティングしながら42.195キロを5時間41分52秒で完走したという。1時間でのリフティングをしながらの移動距離記録は、アメリカのトーマス・ルイスがもっており、7.2キロらしい。相当の「早歩き」である。
「数えちゃいけないんです」
数年前、ある成人男性にそう言われて目を開かされる思いをしたことがある。彼は40代になったある日にサッカーをしようと思い立った(それまではほとんどプレーの経験がない)のだが、手始めにリフティングをしようとしたが、なかなか回数が伸びない。そこで数えるのをやめてボールだけに集中することにしたら、どんどん回数が伸びたというのだ。
「数えると、自然にそのリズムでやろうとしてしまう。そうではなく、ボールに集中してボールのリズムに合わせると、うまくいくようになりました」
すごい「発見」だと思った。リフティングの「達成感」ははっきりと数字が出るところにあるのだが、ボールのリズムを知り、ボールを的確にプレーすることがより大事なのは、少し考えれば誰にもわかる。少年・少女を指導するコーチたちにとって顧みるべき観点ではないだろうか。