大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第113回「何でも、何回でも、突き続ける」(2)1982年、世界記録保持者が日本にいた可能性の画像
ベルギーでのハーフタイムのアトラクションの様子。よく見ると、10人のうち早くも2人が失敗…? (c)Y.Osumi
 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、サッカーに役立つのか、役立たないのか、分からないもの。

■和製英語の「リフティング」

 ちなみに、「ボールリフティングball lifting」という言葉は「和製英語」である。英語圏では通じない。おそらく、クラマーさんの通訳をしていた岡野俊一郎さんが、クラマーさんがリフティングするのを見て即興でつくった訳語ではないか。後には「ジャグリング」という言葉も使われたが、複数のボールやクラブを投げ上げる「ジャグリング」というジャンルが確立しているため、最近ではあまり使われないようだ。

 現在の英語では「keepie uppie,keep-ups,kick-ups」などの表現が一般的らしい。さらにいえば、クラマーさんにとっての母語であるドイツ語では「jonglieren(英語のジャッグルに当たる)」という。サッカーの指導ではほとんど登場しないようだが、自宅でひとりでボールの感覚を養う有効なトレーニングとして、いまもドイツ・サッカー協会は、さまざまなボールのとらえ方(インステップ、インサイド、アウトサイド)や大小2個のボールを交互につかうなど、具体的な映像を見せて少年少女に推奨しているという。

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