■1974年W杯の後に訪れる

 僕がリヒテンシュタインに行ったのは、1974年の西ドイツ・ワールドカップが終わった後でした。ミュンヘンでの決勝戦(ベッケンバウアーの西ドイツがクライフのオランダに逆転勝ち)が終わってから、バイエルン州、オーストリア共和国を観光してから列車でスイス連邦に向かう途中、スイス領のブッフス駅で下車して、歩いてリヒテンシュタイン侯国の首都ファドーツに向かったのでした。

 途中でライン川に架かる橋を渡ったのですが、ドイツ領内を流れるあの大河とは違って、上流部はそれほど大きな川ではありませんでした。

 最近はファドーツも観光地化しているようですが、当時は本当に小さな長閑な田舎町でした。その街の広場でビールを飲みながら昼食を摂って、再び歩いてブッフスに戻ってスイスの首都ベルンに向かいました。

 街角に、「リヒテンシュタイン代表対FCバイエルン・ミュンヘン」の親善試合のポスターが掲げられていたのをよく覚えています。

 今ではリヒテンシュタインもワールドカップやEURO予選でサッカー大国と試合をしていますが、当時はFIFAUEFAには未加盟でした。ちなみにリヒテンシュタイン侯国の面積は160平方キロ。「日本で最も暑い都市」として有名な埼玉県熊谷市と同じくらいです。

(2)へ続く
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