■スイスとオーストリアの間の国

 2013年にルクセンブルク大公国に行って、そこで「ルクセンブルク語」というものを発見した話はすでにご紹介しました(「蹴球放浪記」第151回「ルクセンブルク語というのがあったんだぁ」の巻)。

 もっとも、ルクセンブルクという国は面積が2600平方キロほどあるので、他のミニ国家に比べればかなり大きな国です。2600平方キロ弱というと、ほぼ埼玉県(2585平方キロ)と同じということになります。

 僕がミニ国家を最初に訪れたのはスイスとオーストリアの間にあるリヒテンシュタイン公国(侯国)でした。

「大公国」とか「公国」、「侯国」といった言葉が出てきますが、これはその国の君主の称号による区別です。

 君主の中で最も大きな領域を統治して多民族国家を支配しているのが「皇帝」で、皇帝が君臨する国が「帝国」です。これに対して、一つの民族を統治しているのが「王」で、国は「王国」となります(日本の象徴である天皇は「皇帝」格です)。

 そして、より小さな国に君臨しているのは「大公」とか「公」とか「侯」と呼ばれる貴族たちで、それぞれの国は「大公国」、「公国」、「侯国」と呼ばれるわけです。リヒテンシュタインを統治しているのは国名と同じリヒテンシュタイン家のハンス・アダム2世侯爵なので、本来ならリヒテンシュタイン「侯国」と呼ぶべきなのでしょうが、日本では外務省も含めて一般的に「公国」と呼んでいるようです。

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