■避けなければならないプレー

 舘が無理なタックルに行ってしまったのは、間違いなく「自分がボールを失った」という状況が生んだものだった。

 そしてそのタックルである。舘はボールに向かっていく意識だっただろうが、ボールはすでにベンカリファのプレー範囲にあった。その足元に、舘は猛烈な勢いで突っ込んでしまったのだ。

 試合を見ていて「危ない!」と口に出してしまうことがある。それはこうしたプレーが起きたときだ。ひとつ間違えば相手選手に大けがをさせてしまうプレー。サッカーがスポーツである以上、そうしたことがあってならないと、私は考えている。

 ルールの第12条に「著しく不正なプレー」という項目がある(日本サッカー協会発行『サッカー競技規則2022/23』106ページ)。

 「相手競技者の安全を脅かすタックルをする、もしくはチャレンジをする、または過剰な力を用いる、もしくは粗暴な行為を行った場合、著しく不正なプレーを行ったことで罰せられなければならない」

 「いかなる競技者もボールにチャレンジするときに、過剰な力や相手競技者の安全を脅かす方法で、相手競技者に片足もしくは両足を使って前、横または後ろから突進した場合、著しく不正なプレーを行ったことになる」

(2)へ続く
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