
5月28日に行われた柏レイソル戦(等々力)で川崎フロンターレは公式戦の連敗をストップ。2-0という複数得点&完封勝利に加えて、内容面でも観客を魅せての勝利を手にすることができた。
鬼木達監督は、「やってる本人たちもスムーズに行って楽しかったと思うんですよね。やっぱそういうときは見てる(サポーターの)方も楽しい」と笑顔を見せたものの、「でも3点目、4点目ですね(笑)」と笑いながらさらなる得点を求めてもいた。
この試合で、「改めて自分たちらしさってものがなんなのかっていうのは、あのゲームで示したかった」と話す指揮官。ここ数試合とは異なるスターティングメンバーをチョイスしたことでメンバーから漏れた選手もいたものの、「少しフレッシュになってほしいなっていうのもあった」と明かす。
この試合後、DF佐々木旭はそうしたベテランの戦いぶりから、川崎の高い基準を改めて実感したと本誌記者の取材に応じてくれていた。鬼木監督にその話をすると、「基準というか……」とやや考えたうえで、「ああいうものだよという反面、それに合わせる必要はないのかな」と、意外な答えが返ってきた。若手や中堅選手にとって、ああいったプレーをしたいという“お手本”を示すことができた絶好の機会かと思っていたからだ。
しかし、指揮官の想いはさらに別の深いところにあった。「そこは選手にも言ったんですけど」と前置きしたうえで、「あれに合わせなきゃいけないとなると(選手個々人の)主体性がなくなってしまうので。それぞれが、“自分はこういうプレーをしたいんだよ”っていうのを出してくれれば。あとは、そこを(周りが)くみ取っていくと思うんです」と、プレーする選手が固定概念にとらわれることでそれぞれの個性が埋没することを恐れていたのだ。