■「『これを続けて大丈夫か』っていう不安もありました
ウインターブレイクの間にドイツ5部から駆け上がった上月壮一郎ら新戦力を大量補強。1月21日からの後半戦に挑んだが、シャルケは失点の連鎖がなかなか止まらない。大敗するたびに吉田は批判の矢面に立たされた。
「W杯の後、クリスマス前にチームに合流した時は『これを続けて大丈夫か』っていう不安もありました。前半戦は『監督が1対1で守るっていうから、俺は自分のマークさえ守っていたら問題ない』という選手がいて、結局、CBが尻ぬぐいさせられる状況が多かったから。でも新しい選手が来て、ある程度、マークの受け渡しができるようになった。監督は『マンツーマン』って言ってるけど、やられなければOK。とにかく失点を減らして、勝ち点を積み上げなきゃいけない」と2月時点の吉田は1部残留に全てを賭けていた。
その効果もあって、シャルケは1月29日のケルン戦から8戦無敗と復調。3月4日のボーフムとの直接対決にも勝利し、希望が見えてきた。吉田自身も残留・契約延長を勝ち取るために奮闘。可能性が高まりつつあった。
だが、4月に入って練習中に左太もも裏を負傷。戦線離脱したのが痛かった。4月末には復帰したが、そこからは試合に出られなくなる。5月はバイエルン・ミュンヘン戦の後半45分間、ピッチに立っただけ。結局、不完全燃焼感を拭えないままシーズン終了。彼自身、契約延長オプションの条件である公式戦25試合出場はクリアしたが、1部残留というもう1つの条件が果たされなかったことで、シャルケ退団が確実になったと見られる。
8月に35歳になるベテランだけに、欧州挑戦続行の行方も微妙と言うしかない。本人は「先のことはゆっくり考えたい」と話しているようだが、就活は難航するかもしれない。Jリーグ復帰、中東行きといった憶測も出ているだけに、今後が気がかりだ。
(取材・文/元川悦子)