日本でも注目された5月27日の2022-23シーズン・ドイツ・ブンデスリーガ1部最終節。ボーフムの浅野拓磨がレバークーゼン相手にチームの2点目を叩き出して残留を決め、遠藤航、伊藤洋輝が先発したシュツットガルトがホッフェンハイムと引き分け、3部で2位のハンブルガーSVとの入替戦に回る中、シャルケはライプツィヒに敗れて1年での降格を突きつけられた。「残留請負人」として期待されていた吉田麻也は、まさかの瞬間をベンチから呆然と見守ることになってしまったのだ。
昨季限りでイタリア・セリエAのサンプドリアを退団した吉田がシャルケ入りしたのは、2022年カタールワールドカップ直前の昨夏。親友・内田篤人(JFAロールモデルコーチ)が在籍した頃はUEFAチャンピオンズリーグ常連だったシャルケは近年、財政難で低迷。20-21シーズンに30年ぶりの降格を強いられていた。
21-22シーズンはレンタル加入した板倉滉(ボルシアMG)らの奮闘によって1年で1部復帰を果たしたが、資金難で板倉の買い取りを断念。次なるCBの柱として吉田に白羽の矢を立てたのである。
吉田自身もW杯初戦の相手国・ドイツに赴くことでさまざまな情報を収集できるし、経験値も高められる――そう考えてシャルケ入りを決断。序盤からキャプテンマークを巻いたが、チームは開幕5戦未勝利という苦しいスタートを余儀なくされた。9月9日のボーフム戦で待望の初勝利を挙げたものの、その後は7連敗。W杯前の前半戦はわずか2勝でダントツの最下位に沈んだ。10月には監督も交代。後半戦に勝負をかけることになった。