大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第112回「カップかトロフィーか」(2)イングランドと日本をつなぐ「天皇杯」の画像
FAが新たに制作し、2011年にJFAに寄贈された第2代の「FAシルバーカップ」。FAとJFAの友情はさらに深まった (c)Y.Osumi

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回はキャプテンがこれを両手で持ち、チーム全員で「ウ~~~、ワッ!」という瞬間が至福。

■世界に広がった「カップ」

 サッカーの広まりとともに「FAカップ」の大会方式は世界に広まり、その優勝トロフィーも「カップ」という形式で広まった。

 「初代FAカップ」は銀製だったもののなぜか「小さな錫の聖像」と呼ばれていたが、1895年にバーミンガム市のショップに展示中に盗まれ、翌年からは同じデザインの「2代目」が使われた。しかし1909年に優勝したマンチェスター・ユナイテッドが無許可でレプリカをつくったとき、FAはデザインの著作権が保護されていなかったことに気づき、デザインを一新することを決める。そして1911年の決勝戦から使われているカップのデザインが今日も継承されている。

  1. 1
  2. 2
  3. 3