■日本に送られたシルバーカップ

 このイングランド・サッカー協会(FA)からのカップ寄贈がきっかけとなってサッカー協会が生まれたのが、日本である。1918(大正7)年に大阪、名古屋、東京でサッカー大会が行われるようになり、それを知ったFAがカップの寄贈を決定、翌1919年の3月には「本家」と同じ純銀製のカップ(デザインはかなり違ったが、「3点セット」は同じ)が早くも横浜に到着した。そして日本にもFAに当たる組織が必要と、1921(大正10)年9月に誕生したのが、今日の日本サッカー協会(JFA)なのである。

 その年の11月には早くも第1回の全日本選手権(今日の天皇杯JFA全日本選手権)が開催され、優勝を飾った東京蹴球団の山田午郎主将にチャールズ・エリオット駐日英国大使から「FAシルバーカップ」が手渡された。このカップは、全日本選手権の第20回大会(1940年)まで大会のメイントロフィーとして優勝チームが持ち回っていたが、大会は太平洋戦争で5年間中断され、1945年1月には、カップ自体も、戦争に協力するために強制された「金属供出」に出され、永遠に失われた。

 そして戦後、日本サッカー協会に「天皇杯」が下賜されると、1951年の第31回全日本選手権から優勝チームに手渡されることになり、大会名称も「天皇杯全日本選手権大会」となった。

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