■起きてしまった「思いがけない」こと
広島は全選手が非常に出足がよく、マテウス・カストロ、キャスパー・ユンカー、そして永井という名古屋の3トップにはいるボールを厳しくチェックする一方、名古屋が前線に出そうというボールを川村らが出足よくカットしてそこから時間を無駄にすることのない攻撃で決定機をつくった。
非公式なデータ(試合を中継したDAZNのもの)ではあるが、前半のシュート数は名古屋3本(うち枠内2本)、広島13本(枠内7本)。ボール支配率は45%対55%と大きな差はなかったが、名古屋は広島のスピードに圧倒される形で前半が終わろうとした。
だが前半の終盤、思いがけないことが起こる。右サイドでマテウス・カストロが広島のエゼキエウにファウルを受けて得たFK。川村のときより遠い32メートルの距離があったが、マテウス・カストロは得意の無回転ぎみの落ちるシュート。これを広島GK大迫敬介がバーの上にはじき出す。名古屋は和泉竜司が右CK。中央の中谷進之介を狙った1本目は相手に先に触られたが、そこから得た2本目が同点ゴールにつながった。
ニアポストめがけてライナーのボールを送った和泉。永井と中谷が飛び込み、永井の頭に触れたボールはファーポストに流れる。中央にポジションをとっていたユンカーはこの一連の流れの「舞台裏」で川村のマークを外してファーポスト側に走り、永井からのボールに合わせて猛然と走り込み、叩きつけるようなヘディングシュートで広島のゴールを割った。「練習してきた形」と、試合後、ユンカーは満足げに語った。