■イングランドは遠くとも…

 かつて「イングランドでは急行が停まるような街には必ずサッカー・クラブがある」と言われていた。

 実際、1996年にはイングランドでヨーロッパ選手権(EURO)が開催されて、僕も1か月間イングランドに滞在。マンチェスター駅前の安ホテルを根城にしてイングランド中を歩き回ったのだが、たしかに小さな街にもフットボール・グラウンドが存在するのを目の当たりにしたし、そんな小さな都市でも僕には聞き覚えがある都市名ばかりだった。もちろん、サッカー・クラブの名前として覚えていたものである。

 Jリーグ発足から30年が経過して、日本も同じような状態になりつつある。

 もちろん、イングランドには最上位のプレミアリーグから“4部リーグ”に当たるEFL2までだけで92のクラブが加盟している。

 イングランドの人口は日本の半数弱の5000万人程度なのだから、「60クラブ」という数字はイングランドとはまだまだ比べ物にならないのだが、それにしても30年前には「サッカー後進地域」と言われていた東北地方や甲信越なども含めて、ほぼすべての都道府県にJクラブが存在するというのは、30年前には想像もできなかったことだ。

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