■「その人たちのためにもリベンジをしたかった」
さらに、2017・2019年にはACLファイナルを経験。前者は見事にタイトルを手にしたが、後者は今回と同じアルヒラルに完敗。ホーム・埼玉で0-2という結果を突きつけられた第2レグの悪夢は、彼の脳裏に焼き付いて離れなかったはずだ。
「2019年の時も6万人近くサポーターが入ってくれたし、槙野もいて、阿部(勇樹=浦和ユースコーチ)ちゃんもいた。仲間たちが悔しい思いしてるので、その人たちのためにもリベンジをしたかった」と興梠は偽らざる胸の内を吐露している。
自身も2021年にJ1・1ゴールと2ケタ得点記録が途絶えたのを機に、恩師・ミシャ監督率いる札幌へレンタル移籍。そこでもケガで離脱を強いられ、不慣れなマンツーマンディフェンスや体力的な課題に苦しんだ。それでも5ゴールという結果を残し、1年で浦和復帰を決断。今回のACLファイナルに全身全霊を注ぐ覚悟をした。
「この年になると1年、1年が勝負になる。自分自身、いいパフォーマンスができるのは今年までかなと思っているので、今まで以上に努力して、チームのため、自分のために本気で頑張ってみようかなと思っています」
1月の復帰会見で神妙な面持ちでコメントした興梠。そこにはかつてのヤンチャで無欲な男の姿はなかった。ACL王者に対しても「これがラストチャンスだと思った」と強い危機感を持って挑み、圧倒的な存在感を示したのである。