■アジア制覇は終着点ではない

 そして強力な守備、強いメンタリティーをベースに、ACL後にスコルジャ監督はいよいよ第2段階、彼が最もやりたかった効果的な攻撃をメインターゲットにするはずだ。その成果が表れ、本当の「スコルジャ・レッズ」がピッチで表現されるようになるのは、彼の手腕からいって大いに期待していい。

 たった2試合とはいえ、極度の緊張を強いられ、フィジカル面でも大きな挑戦を受けたACL決勝は大きな負担だったはず。そこからどう回復するかが大きなポイントになるが、そこでの崩れを今季獲得してきたメンタリティーで乗り切れば、サポーターが望む「本当に強い浦和」が姿を現すのではないか。

 今回の浦和のACL決勝での戦いは、けっして「終着点」ではないところに、これまでの2回の優勝(ともに翌年以後、浦和は大きな危機に陥った)とは違う面がある。

 ことしスタートからここまでの浦和の戦いは、安定したチーム守備、強いメンタリティーとともに、サポーターの声援に支えられたものでもあった。5万人のアルヒラル・サポーターを圧倒し、選手に勇気を吹き込み続けた700人の浦和サポーター。だが「ポストACL」、今季の後半には、こんどはチームが攻撃面でも大きく進化し、サポーターを喜ばせ、彼らを逆に勇気づけるようになるのではないか―。埼スタでの決勝戦は本当に楽しみだが、今回は、その先により大きな楽しみが待っているように思えてならない。

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