■世界各国の共通点
ロシアのフットボールも、こうした近代化を進める開明的な資本家や工場労働者が西欧文化の一つとして取り入れたものでした。
どこの国でもそうなのですが、英国生まれの近代スポーツであるフットボールは保守派からは嫌われ、近代化を進める人々や外国文化を積極的に取り入れようとする人たちから支持されました。工業化を推し進める実業家の多くは、宗教的にもロシア帝国の国教だったロシア正教の中でも異端的な立場を取る「古儀式派」と呼ばれる人たちが多かったようです。
当然、鉄道労働者の中でもフットボールは盛んになっていきました。
モスクワには「ロコモティフ」というクラブがあり、現在もロシア・プレミアリーグで戦っています(4月25日現在10位)。「ロコモティフ」というのはロシア語で「機関車」という意味で、クラブのロゴも機関車。そして、ホームゲームではゴールが決まると機関車の汽笛が鳴らされるそうです。