後藤健生の「蹴球放浪記」第159回「大型蒸気機関車が保存されたモスクワの鉄道博物館」の巻(2)ロシアで生き続ける庶民のクラブの基盤の画像
大型蒸気機関車にビックリ 提供/後藤健生

 取材の間の移動も愛する蹴球放浪家・後藤健生は、世界各国の交通機関のチェックも怠らない。時には、驚くような鉄道文化に触れることもある。2018年のワールドカップで出会ったロシアの鉄道文化は、サッカーへの影響も考えさせるものだった。

■鉄道大国ロシア

 ロシアの鉄道は路線距離ではアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の8万6000キロですが、輸送量などでは中国に次ぐ鉄道大国だそうです。

 ロシア帝国時代の1837年に首都サンクトペテルブルクに最初の鉄道が敷設され、最初はすべて民有鉄道(私鉄)だったのですが、1904年の日露戦争後に順次国有化されていきます。そして、1991年にソ連が崩壊すると、ロシア連邦内の国有鉄道は「ロシア鉄道」に引き継がれました。

 最大の特徴は軌間が1435ミリの標準軌(新幹線と同じ)よりも広い1520ミリの広軌であることです。隣接国との接続が不便になるわけですが、大型の車両を走らせられるので輸送力は大きくなります。

 鉄道建設が進んだ19世紀はロシアで近代化、工業化が進んだ時代でした。広大な領土を結ぶ鉄道網はロシアの近代化には欠かせないものだったでしょう。

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