■2004年のルール改正
得点の喜びの後にシャツを脱いだらイエローカードというルールができたのは2004年。第12条「ファウルと不正行為」に入れられた。ただし本文ではなく、当時あった「国際評議会の決定事項」の6として、「得点を喜ぶためにジャージを脱いだ競技者は、反スポーツ的行為で警告されなければならない」と、シャツを脱いだら自動的にイエローカードになるとされた。
国際サッカー連盟(FIFA)やサッカーのルールを決める国際サッカー評議会(IFAB)には、それ以前から、得点の喜びのなかでシャツを脱ぐ行為を苦々しく思っている人が多かった。裸になるのは品性に欠けるし、何よりも時間の浪費になるという考えだった。なかには、「イスラムの社会では人前で上半身裸になるのは侮辱にあたる」という指摘をする人もいた。当時のFIFAは得点後の過剰な歓喜の表現、それによる時間の浪費に神経質になっており、2000年までは「広告看板を飛び越えたら警告」のルールもあった。
だが「シャツ脱ぎ禁止」のルール化の直接の原因になったのは、当時マンチェスター・ユナイテッドでプレーしていたFWディエゴ・フォルランだというのが定説だ。後にワールドカップ南アフリカ大会(2010年)でMVPに輝いくウルグアイ代表ストライカーであり、さらには2014年から2シーズン、セレッソ大阪でプレーし、日本のファンを楽しませてくれた名選手も、このときまだ23歳。世界的な名声を築く前だった。