J2ヴァンフォーレ甲府の選手が見せたシュートに脚光が当たっている。ただし打ったのはフィールドプレーヤーではなく、GKである。
今季のJ2も、激しい争いが続いている。第10節まで終えて無敗チームはすでになく、自動昇格となる2位以上はもちろん、プレーオフ進出圏内をめぐる競争も熾烈なものだ。
甲府は前節、連敗を抜け出した。栃木SCに1-0で競り勝ち、5位V・ファーレン長崎と6位ザスパクサツ群馬と勝点で並んでいる。
栃木戦が、今季3度目の無失点試合だった。ゴールに鍵をかけたのは、GK河田晃兵だ。
ガンバ大阪での1年間を挟み、甲府での通算10年目を迎えるベテランだ。今季も開幕からゴールを預かり、チームメイトたちを最後尾から支えていた。
決勝点となったのは、後半33分のピーター・ウタカのゴールだった。河田もクリーンシート達成で勝利に貢献したが、実は違う形でも仲間たちを後押ししていた。
試合終盤に入った後半42分のことだった。1点差の緊迫した状況で、河田は試合の流れを変えようとした。自陣でボールを持つと、大胆にも超ロングシュートを放ったのだ。
河田と相手ゴールとの間にいる両チーム合計20人のフィールドプレーヤーの頭上を、弾道が越えていく。さらには、やや前に出ていた栃木GK川田修平も天を仰ぎ見た。ボールはそのままゴールに吸い込まれそうになったが、クロスバーのやや上を通ってゴールネットを揺らすにとどまった。