■「しっぺ返し」を食らうも内容は改善されている
前半は乾が決定機にかかわった。まずは23分、自らが倒されて左サイドで直接FKを得る。ゴール前には6人の選手が上がっており、乾がどこへ供給するのか注目されたなかで、34歳の経験者は相手選手はもちろん味方選手も観衆も欺く。左手を軽く上げてキックフォームに入ると、自らゴールを狙ったのだ。ライナー性の一撃が左ポストを叩き、惜しくもゴールを逸れていった。
32分にはカルリーニョス・ジュニオの右サイドからのクロスを、ファーサイドでフリーになって右足ボレーで合わせる。基本どおりに叩きつけたボールはバウンドがわずかに大きく、バーをかすめるように越えていった。
敵陣でサッカーを続ける清水は、前半終了間際の45分にスコアを動かす。左SB吉田がペナルティエリア左へ縦パスを通すと、走り込んだ白崎がゴールを背にした体勢から右足でボールの角度を変える。技巧的な一撃が、相手GK林彰洋を破った。今シーズン初めての先制点だ。
後半もチャンスを作り出す。51分、ディサロの演出からホナウドが決定的なシュートを放つが、相手GKの正面を突く。
清水の攻勢は続くものの、次の1点は清水ではなく仙台に入った。78分、1対1の同点に追いつかれた。
直後に秋葉監督はチアゴ・サンタナとディサロを下げ、FWオ・セフンとMF神谷優太を投入する。前節の東京V戦で決勝点を生み出したコンビだ。オ・セフンは終盤に決定的なシーンを迎えたが、左足のシュートは枠をとらえることができない。試合終了のホイッスルは、勝点3ではなく勝点1を告げるものとなった。
試合後の秋葉監督は「追加点を取らないと、しっぺ返しが待っている。自分たちのミスで失点をしてしまった。ホームでもったいなかった」と悔しさを言葉にしたものの、「短い時間で内容がグッと上向いている。プラスになっていることはたくさんある」と、手ごたえを口にした。
順位は試合前からひとつ下がって17位となったが、試合内容にははっきりとした改善が見られる。ここまでの戦いを知らずに仙台戦を観た人がいたら、「清水はなぜこの順位にいるのか」と不思議に思ったことだろう。「超アグレッシブな姿勢」が躍動感を生み出し、スペクタクルと言っていい試合を繰り広げた。
あとは、勝点獲得のペースを上げていけるか。首位の大分トリニータ、2位のFC町田ゼルビアらの背中が見えているうちに、勝点差を詰めていきたいところだ。