女子ワールドカップ開幕まで、100日を切った。女子日本代表が目指すのは世界タイトル奪還だ。そのため、今月にはヨーロッパへ遠征し、2試合を戦った。なでしこジャパンの本大会前最後の海外遠征を、サッカージャーナリスト・後藤健生が検証する。
■スリーバックでの挑戦
4月11日(日本時間12日)にデンマークと対戦した日本女子代表(なでしこジャパン)は南萌華のオウンゴールによって0対1で敗れてしまった。7日(同8日)のポルトガル戦は2対1で逆転勝利しており、FIFA女子ワールドカップ前最後の海外遠征は1勝1敗で終わった。
もちろん、この遠征はいわゆる「強化試合」なのであり、結果はそれほど重要ではないかもしれないが、スリーバックという新システムに挑戦している池田太監督の日本代表にとって数多くの課題が突きつけられた内容だった。
日本は昨年10月の神戸でのナイジェリア戦からスリーバックに取り組んでいる。
これまで、日本の女子代表はずっとフォーバックで戦ってきており、本格的にスリーバックに取り組むのはこれが初めて。また、かつてのなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)や現在のWEリーグでもスリーバックを採用しているチームは少なく、日本女子にとってスリーバックは未知のシステムだった。
もっとも、池田監督が率いて2大会連続でワールドカップ決勝に進出した(2018年大会は優勝。2022年大会は準優勝)U-20日本代表はスリーバックで結果を出しており、若い選手にとっては経験済みだ。
しかも、昨年秋以降の海外遠征では日本よりもFIFAランキングが上の強豪相手のアウェーでの試合が続いたので新システムへの挑戦はいっそう難しいものになった。
ワールドカップまで1年を切った段階で新システムに取り組み始めたのは、まさにぎりぎりのタイミング。7月に入ってからの最終合宿でどこまで新システムをブラッシュアップできるか。それが、ワールドカップでの勝敗を分けることになる。
その意味では、最後の海外遠征で課題を突き付けられたのは、必ずしも悪いことではなかったのかもしれない。