■偶然ではない失点
さて、新システムに取り組み始めた後、日本代表は2022年11月のヨーロッパの遠征ではイングランド(0対4)とスペイン(0対1)に連敗。今年2月のアメリカ遠征(SheBelieves Cup)でも初戦のブラジル戦、アメリカ戦と連敗(ともに0対1)していた。この時点で11月の遠征から4連敗。しかも、4試合連続無得点とまったく結果を出せずに苦しんだ。
しかし、内容的に完敗だった11月の遠征と違って、アメリカ遠征ではFIFAランキング1位のアメリカを相手にも内容的には互角以上の戦いを演じ、3戦目では東京オリンピック金メダルのカナダに対して3対0で快勝し、ようやく自信を取り戻しつつある中での今回の遠征だった。
ポルトガル北部のギマランエスで行われたポルトガル戦。日本は前半の25分にポルトガルに先制ゴールを許してしまう。
最終ラインからのロングキックをつながれ、ディアナ・シルバのスルーパスでジェシカの抜け出しを許して、最後はアナ・カペタに決められたもの。これがポルトガルのファーストシュートだったが、その前にも同じように守備ラインの裏を取られる場面が何度もあったのだからけっして偶然の失点ではなかった。
原因は前線でプレスをかけに行く場面で日本のMFやDFの押し上げが足りなかったためチームが前後に間延びしてしまい、ポルトガルにスペースを与えてしまったことだ。しかも、ポルトガル選手たちは日本のプレスをかいくぐってパスをつなぐだけのテクニックを持っていた。