■プレスを難しくした環境
この日のギマランエスの気温34度という気象条件も原因の一つだった。池田監督は試合後のフラッシュインタビューで「前半は寝てしまった」と表現したが、暑さのために動きが悪くなってしまったのは間違いない。春を迎えたばかりのこの時期、選手たちの体はまだ冬仕様のままになっており、基礎代謝量は高く、発汗機能は失われているので暑さの影響は大きい。
また、戦術的にはポルトガルがプレッシングをかけてきたことで日本の不動のボランチ2人(長谷川唯と長野風花)が押し込まれてしまったこともMFとFWの間にスペースができた原因だった。
こうした状況を考えれば、無理に前線から追うのは諦めるべきだったのかもしれない。実際、後半の日本は守備局面では引き気味でハーフライン付近からプレスをかけに行くように修正したのだが、ポルトガル戦ではディフェンスリーダーの熊谷紗希がベンチだったこともあって、ピッチ上の選手の判断で修正することはできなかった。
それでも、失点後にはボールを保持して反撃に移り、日本は35分には同点ゴールを決めた。このあたりは選手個々の能力の差によるもの。もし、相手がワールドカップ優勝を狙うような強豪国(たとえばグループリーグ3戦目で対戦するスペイン)だったら、前半のうちに追加点を奪われて勝負を決められてしまったかもしれない。