日本のサッカー界でも、次々に新しいスター選手が誕生している。だが、年齢に関係なく成長を続ける選手も、日本サッカーを盛り上げ続けている。サッカージャーナリスト・大住良之が、36歳でも成長を続ける浦和レッズGK西川周作に焦点を当てる。
■新たな学び
小柄なジョアン・ミレッ・コーチはプロ選手としては成功しなかったが、24歳でGK指導者に転身、2000年に指導を始めたSDゲルニカという3部の小さなクラブで次々と好GKを育て上げた。そして2013年に湘南ベルマーレのアカデミーのGK指導者となって来日、2017年にはFC東京でトップチームのGKを指導し、2019年には奈良クラブ(当時JFL、現在はJ3)、2021年には筑波大学、さらに福山シティFC(当時は広島県リーグ1部、現在は中国リーグ)で指導を続け、同時に自身のGK指導メソッドをSNSなどで公開してきた。
このミレッ・コーチを、同じスペイン人であるリカルド・ロドリゲス監督が率いる浦和が招聘したのが2022年。ここで西川はGKとして新たな目を開かされることになる。つい最近の「東京新聞」で、上條憲也記者が興味深い記事を書いている。
「ゴールは存在しているか」
2022年のトレーニングの初日、ミレッ・コーチがまず西川に向かってこう聞いたという。「ある」と答えると、イメージの中では実際の場所に存在しないことにするというのが、ミレッ・コーチの教えだったという。
「ボールを目で追いながら実在のゴールを背後に意識すると『自分のポジショニングだったりセービングの方向だったり、クロスボールが上がった時に前に飛び出せなかったりする。(ゴールとは)そういう魔力がある』(西川)からという」(3月30日付け『東京新聞』)