■西川を支えた指導者たち

 さらに、指導者に恵まれたことも、成長を続けられる大きな要因となっている。浦和は2019年に日本代表のGKコーチだった浜野征哉(現在はU-22日本代表GKコーチ)を招聘。鈴木にポジションを奪われていた西川の「復活」は、浜野コーチの指導によるところが大きい。具体的にはステップワークが挙げられる。

 それまでの西川はかなり明確な「プレジャンプ」という動きをしていた。これはドイツで開発された技術で、シュートの直前に小さくジャンプし、それによってシュートに対応する動きをより速く、強くしようというものだ。西川はそれが大きく、シュートへの反応が遅れる場面が少なくなかった。しかし「6試合後」の西川は、それがほとんど目立たないほど小さくなり、代わって足の運びが速くなった。

 極端に言えば、ゴール左隅に打たれたシュートに対し、それまでの西川は大きくプレジャンプしてその反動でジャンプを強くし、ボールに届こうとしていたのだが、「6試合後」の西川はまず1歩でも2歩でもサイドステップを入れ、そこからジャンプするようになった。その結果、シュートを防ぐ範囲は大きく広がった。この変化は、明らかに浜野コーチの指導によるものだっただろう。

 さらに、2022年にはスペイン人のジョアン・ミレッ・コーチが着任、西川の能力をさらに伸ばした。

(3)へ続く
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