■コルテスが来た道
さて、1986年の話に戻ります。
午前10時過ぎにメキシコ市の巨大なバス・ターミナルを出発したバスは、試合観戦で何度も通ったプエブラ街道を通り、プエブラの手前で北に方向を変えてトラスカラ盆地に入ります。
ベラクルスまでの経路は「コルテスが来た道」そのものです。
コルテスが来た時、トラスカラはアステカ帝国から独立して抵抗を続けていました。そして、コルテスと同盟を結んでアステカを攻撃することになりました。大盆地はそれだけの経済力を持っていたのでしょう。
さて、ベラクルスまでは約6時間半の旅です。
メキシコに到着してから、すでに1か月近くが経過して疲労していたこともあって、バスの中ではついつい居眠りをしてしまいました。
そして、目を覚ます度にまったく異なった風景を見ることになったのです。標高2000メートルの中央高原から海抜0メートルのベラクルスまで移動するのですから、当然、気候も風景も大きく変化するのです。